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法律と税からみた 遺言のポイント。その3

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『遺言を書くために知っておきたい6つの知識』と題するセミナーを、槇田司法書士(みな司法書士法人)と行いました。

 

遺言は、法律(司法書士)の立場、税(税理士)の立場から様々な論点があります。

 

今回は税務についてです。

 

言うまでもなく、遺言書には、遺言者の財産を記載します。

その財産は、亡くなったときのことを想定して、網羅的に書きます。

しかし、亡くなったときの財産を想定して書くことは難しいことです。

 

さらに、一般に財産と認識されていないものも、相続税では財産となることに注意が必要です。

遺言書に書かれていない財産があると、別途遺産分割協議が必要になってしまいます。

 

例えば、以下の財産です。

 

(1)現金

生前に銀行から引き出した現金は、タンス預金として相続税がかかります。

これは、遺言書では「預金」ではなくなります。

「現金」という独立した1項目となり、現金の取得者の指定があるかという点になります。

 

(2)生命保険契約に関する権利

少しわかりにくいのが“生命保険契約に関する権利”です。

通常の死亡保険金は、契約者が故人、被保険者が故人です。

生命保険契約に関する権利は、契約者が故人ですが、被保険者が故人以外の者です。

つまり、相続が発生しても、保険金がおりるものではない保険です。

これは、故人がこれまで掛けてきた掛金の蓄積に相当する金額=解約返戻金相当額により相続税がかかります。

 

(3)個人年金

似たようなものに個人年金があります。

故人が生きていれば、例えば、60歳からこの先10年間、年金がもらえるという民間の年金です。

途中で亡くなると、引き続き遺族が年金をもらえたり、その時点で一時金としてもらって完結というものもあります。

この個人年金も、契約者及び受取人が亡くなったら誰が相続するか、決める必要があります。

 

(4)同族会社への貸付金

故人が会社を経営しているような場合、会社が故人からお金を借りているケースが多くあります。

これは、まとまったお金を会社と金銭消費貸借契約を結んで・・というものばかりではありません。

帳簿上、貸し借りが発生しているケースがあります。

したがって、帳簿を確認し、会社側で“役員借入金”がある場合は、社長側で貸付金があることになります。

 

(5)名義財産

名義は妻や子供といった親族名義の通帳でも、実質的に故人の資金とみなされる場合が多くあります。

一般には、子供名義の預金があれば、故人が贈与してくれた、つまり、名義人のものと考えるのが普通です。

しかし、税務上は、名義はともかく、実体が故人のものであれば相続財産と認定されます。

 

いざ相続のとき、「遺言書に記載がないため、遺産分割協議が必要です・・」とならないよう、後顧の憂いを残さず厳格に遺言したい場合には、税理士へのご相談をお勧めいたします。