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生前贈与の誤った認識。その2

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 贈与の形態としては、例えば、

・親の口座から子の口座へ、200万円を振り込んだ。

・親の口座から200万円引き出し、子へ現金で渡した。

・親が子名義で通帳を作成して、そこに入金した。

などがあると思います。

さて、贈与成立の要件は、「あげた」「もらった」の2つがあって成立します。

これは口頭でも成立しますので、贈与契約書があってもなくても贈与は贈与です。

贈与税の基礎控除110万円を超える贈与をしたが、贈与税の申告書をしていなかった、これでも贈与の事実と申告の有無は直接むすびつきませんので、仮に贈与税の申告が漏れていた場合であっても贈与自体は成立します。申告が漏れたことについては、過少申告加算税や無申告加算税、延滞税といったペナルティが課せられます。

もう少し、具体例を見ていきましょう。

Q 贈与契約書を作成する必要があるか。

前述のとおり、贈与は「あげた」「もらった」の当事者の意思によります。

これは必ずしも書面によるものに限られず、口頭でもOKです。

したがって、贈与契約書は作成していなくても、贈与は成立します。

ただし、お金のやり取りは、外見上、贈与なのか貸し借りなのかわかりません。状況によっては、贈与ではなく貸し借りだと認定されてしまうこともあります。そのようなことを避けるためにも、贈与であるならば贈与契約書を作成しておいた方が無難です。

※貸し借りとなると、贈与ではありませんので、子に対する「貸付債権」としての財産になります。

Q 誤って子供の口座にお金を振り込んでしまったが、贈与税がかかるのか。

 贈与は「あげた」「もらった」ですので、逆をいうと、誤って子供へお金を振り込んでしまっても、贈与の意思がなければ、贈与税はかかりません。

 その代わり、振り込んだお金は戻して頂く必要があります。子がお金を使ってしまったのであれば、将来にわたって親へ返済していくことになります。

 なお、いくら貸したお金だといっても“ある時払いの催促なし”では実質は贈与だとみなされてしまいます。

 親子間の貸借であるのなら、借用書を作成しておきましょう。その借用書には、金額、日付、返済条件、利息の条件(個人間ですので無利息でも大丈夫です)などを記載しておき、返済条件にしたがって、実際に返済しておきましょう。

(つづく)