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月別アーカイブ: 2017年7月

誤りの多い事例「市街化調整区域の雑種地の評価」

周辺に宅地が多くみられる市街化調整区域において、駐車場や資材置場として利用されている土地です。

 

駐車場や資材置場など建物の建っていない土地は「雑種地」として評価します。

市街化調整区域の雑種地は

宅地として評価するか、農地等として評価するかにより評価方法がわかれます。

 

宅地として評価する場合には

○ 近傍宅地単価×評価倍率×画地補正率×しんしゃく割合×地積

を行います。

 

≪誤り例≫

下記のように評価する誤りが多く見受けられます。

 

× 雑種地としての固定資産税評価額×評価倍率(1.1)

× 宅地としての固定資産税評価額×評価倍率(1.1)

× 近傍宅地単価×評価倍率×地積

× 近傍宅地単価×評価倍率×画地補正率×地積

× 近傍宅地単価×評価倍率×地積×しんしゃく割合

 

近傍宅地単価は、市区町村の資産税課で確認したり、固定資産税路線価を確認したりして準用します。

 

しんしゃく割合は、全く建築不可でしたら50%減、建築の可能性があるのであれば30%減となります。

 

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歩道状空地の評価の取扱い変更の影響がある土地はこんな土地

平成29年7月24日、国税庁は、歩道状空地の評価の取扱いを変更した。

 

国税庁「財産評価基本通達24((私道の用に供されている宅地の評価))における「歩道状空地」の用に供されている宅地の取扱いについて(お知らせ)」平成29年7月

 

これは、従来、宅地として評価していた部分について、これを私道評価すべきとする平成29年2月の最高裁判決を踏まえての変更となる。

 

 また、国税庁ホームページに新たに質疑応答が追加された。

国税庁質疑応答事例「歩道状空地の用に供されている宅地の評価」

 

 ここでは、下記のような歩道状空地の用に供されている宅地については、私道として3割評価することとされている。

①都市計画法所定の開発行為の許可を受けるために、地方公共団体の指導要綱等を踏まえた行政指導によって整備されたものであること

②道路に沿って、歩道としてインターロッキングなどの舗装が施されたものであること

③居住者等以外の第三者による自由な通行の用に供されていること

 

なお、歩道状空地が、不特定多数の者の通行の用に供されている場合には評価しないことともされている。

 

<今回の取扱い変更の対象となる土地>

 

 相続財産である土地の中に、都市計画法に定める開発許可を要する面積以上のものであり、かつ、現存する建築物を建築する際に開発許可の受けたようなケースにおいては、今回の改正の影響を受ける可能性がある。

 

【判定のためのフローチャート】

今回の改正の影響を受ける土地かどうかの判定用のフローチャートは以下のようになる。

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【判定ポイント1】開発許可を要する面積以上である。

 まずは、評価対象地が開発許可を必要とする面積以上かどうかが第一関門だ。

 

開発行為の目的となっている土地が、一定の面積以上である場合には、都道府県知事等の許可が必要とされている。

 

(表)開発許可を要する面積基準

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【判定ポイント2】今ある建物を建てる際に開発許可を受けた。

 次に、今建っているマンションやビルを建築する際に、下記のような開発行為を行ったかどうかが第2関門だ。

 

開発行為とは、主として、建築物の建築又は特定工作物の建設を目的とした「土地の区画形質の変更」をいう(都計法4⑫)。

つまり、マンションやビルといった建築物を建築する際に、土地に区画形質の変更を加えるのであれば許可がいるということである。

「区画」の変更とは、元の土地にあった道路や公園等を廃止するとか、新たに開発に伴って道路や公園等を新設することをいう。

 「形」の変更とは、元の土地に50㎝超の盛土をしたり、1m超の切土をしたりすることをいう。

 「質」の変更とは、元の土地が農地や雑種地である場合に、これを宅地化することをいう。農地や駐車場を宅地転用してマンションを建築する場合がこれにあたる。

 

【判定ポイント3】

最後に、上記の開発許可を受けるにあたって、各自治体の行政指導により設けた「歩道状空地」がある場合は、その部分について財産評価基本通達24を適用して評価することとなる。

 

今後の実務においては、土地の所有者及び役所における調査は必須の確認事項となる。

 

(参考)風岡範哉「《速報解説》私道評価をめぐる最高裁判決を受け、国税庁が取扱い変更を示す情報を公表~質疑応答事例に「歩道状空地の用に供されている宅地の評価」を追加~」『Profession Journai』〔2017年7月〕プロフェッションネットワーク (会員限定)

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誤りの多い事例「無道路地に特定路線価をつける」

無道路地の評価は誤りの多い論点です。

 

建築基準法の道路に接していない土地は家を建てることができません。

「無道路地」です。

このような土地です。

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無道路地の評価は、近くの建築基準法上の道路に通じる道を買収したとして評価します。

 

無道路地補正として買収費用を考慮しますので評価は下がります。

路線価×画地補正率×無道路地補正×地積を行います。

 

この建築基準法の道路ではない通路に特定路線価を設定してしまう誤りがあります。

建築基準法の認定のない通路には(原則として)特定路線価は設定しません。

特定路線価を設定して整形地として評価し、無道路地であることを斟酌していないと過大評価になります。

 

役所において、建築基準法上の道路の種別の確認が必須となります。

 

コミュニティ

土地評価セミナーを行いました。

風岡税理士が保険サービスシステム株式会社において「税理士なら知っておきたい 土地評価の実務 入門編」と題する講演を行いました。

 

土地の評価は本を読んだだけではできません。

現地や役所で何を調べ、評価単位やセットバックを図面にどのように落とし込むかといった論点です。

 

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平成27事務年度の相続税の税務調査。その2

国税庁より平成27事務年度における相続税の調査の状況が公表されています。

 

注目すべき重加算税の賦課件数は1,250件、申告漏れが指摘された件数のうち重加算税が賦課された割合は12.8%となっています。

 

国税庁が昨今力を入れているのが海外資産絡みの事案です。

資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案など、海外資産関連事案については、本事務年度においても積極的に調査を実施するとされています。

 

もう一つ力を入れているものが無申告事案です。

無申告事案は、申告納税制度の下で自発的に適正な申告・納税を行っている納税者の税に対する公平感を著しく損なうものであることから、資料情報の更なる収集・活用など無申告事案の把握のための取組を積極的に行い、的確な課税処理に努めるとされています。

 

周知のとおり、相続税は、平成27年1月1日より基礎控除が引き下げられ、課税対象者が増加することから関心が高まっています。

しかし、残念ながら今回公表された平成27事務年度に行われている調査の対象は、改正前の平成25年に申告された事案が主な対象となっています。

したがって、改正の影響は数値にはまだでてきません。

改正の影響が統計に表れるのは平成29事務年度となります

 

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平成27事務年度の相続税の税務調査(その1)

国税庁より平成27事務年度における相続税の調査の状況が公表されています。

 

毎年、相続税の税務調査の件数や申告漏れがあった件数などが国税庁によって公表されています。

 

平成27事務年度(平成27年7月1日から平成28年6月30日)における実地調査の件数は11,935件でした。

前年(平成26事務年度)は12,406件でしたので3.8%減少しています。

 

平成23年に国税通則法(税務調査手続き)の大きな改正があり、調査官の事務作業が増加したこともあって、調査件数は年々減少傾向にあります。

 

実地調査件数11,935件のうち、申告漏れ等の指摘があった件数は9,761件で、申告漏れ割合は81.8%となっています。

税務調査がくると、なんと8割は追徴課税がなされるのです。

毎年おおよそこのぐらいの割合です。

 

申告漏れの多い財産の内訳は、現金・預貯金等1,036億円が最も多く、続いて土地410億円、有価証券364億円の順となっています。

 

追徴税額(加算税を含む。)は583億円で、実地調査1件当たりでは489万円となっています。

 

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税務調査対策/名義預金のセミナーを行います。

風岡税理士がビズアップ総研において「ケーススタディで学ぶ 相続税申告・調査における最重要論点」と題する講演を行います。

 

相続税の税務調査でどのような点が見られるのかを知り

相続税申告書を作成するにあたって、どの点に注意すべきか対応ができる内容となっています。

専業主婦名義の預金が夫のものか

おじいちゃんが積み立ててくれた孫名義預金は誰のものか

どの家庭にもある論点です。

http://www.bmc-net.jp/seminar/2017/032/

 

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理由付記の不備で課税処分が取り消しに。

理由附記という論点があります。

 

理由附記とは、税務署が課税処分をする際に通知書に書く「理由」をいいます。

 

税制改正により平成25年1月1日からすべての課税処分に理由附記が実施されることになりました。

 

それまでは、例外的に法人税、所得税の青色申告者に対する課税処分については理由附記が行われていましたが、原則は理由が記載されていませんでした。

 

つまり、税務署が行う課税処分について、納税者は具体的な理由がわからなかったのです。

 

理由附記は、税務署が行うものであり、また、相続税や法人税、所得税といった「実体法」と異なり、「手続法」と呼ばれる分野で地味な論点ですが、実は強力な規定なのです。

なぜなら、理由附記が不備であると何億円課税漏れであっても課税処分が取消しとなってしまうからです。

 

理由附記で重要な論点は、どこまでの理由を求めるか、「理由附記の程度」の問題です。

記載理由は、「所得の計算誤り」「預金の計上漏れ」といったものだけでよいでしょうか、それとも、課税の根拠条文、根拠資料の明示、課税庁の判断過程まで書く必要があるでしょうか。

法律に細かい規定はありません。

 

判例・学説では、更正の理由として、更正の原因となる事実、それへの法の適用、結論の記載が必要とされています。
理由附記の趣旨からすれば、処分を受けた側が、どのような事実関係に基づいて、どのような法規を適用し、なぜ課税処分がなされたのかがわかるものでなければなりません。

 

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