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相続税や贈与税における土地の評価は、簡便的に土地を評価できるように評価基準が設けられています。
市街地においては路線価方式、それ以外の地域では倍率方式です。
路線価方式は、路線価にその土地の形状や個別事情に応じた各種補正を行い、最後に面積を乗じて計算する方法をいいます。
倍率方式は、路線価が定められていない地域の評価方法をいいます。
倍率方式においては、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算をします。
その路線価方式や倍率方式は法律ではありません。国税庁の実務上の取扱いです。
路線価方式はなぜ広く認められているのでしょうか。
このように評価基準制度がとられている理由は、
・土地の客観的な価額を的確に把握することが容易ではないこと、
・各自が個別的に評価をすると、採用した資料等によって評価額に格差が生じること、
・税務署の事務負担が重くなること
・画一的に評価する方が、納税者間の公平、納税者の便宜、徴税費用の節減という見地からみても合理的であること
とされています。
また、路線価方式は、簡易な不動産鑑定と定型的補正とを組み合わせた方式として評価され、不動産鑑定評価理論に照らしても不合理とは言えないと考えられています。
そのため路線価方式は、「これを不合理とする特別の事情」がない限り、合理的な方法とされています。
したがって、不動産業者の査定価格や不動産鑑定士の鑑定評価書は、「路線価方式を不合理とする特別の事情」がない限り採用できないものとされています。
毎年、国税庁から、相続税の税務調査の件数や申告漏れがあった件数などが公表されています。
平成27事務年度(平成27年7月1日から平成28年6月30日)における実地調査の件数は11,935件でした。
前年(平成26事務年度)は12,406件でしたので3.8%減少しています。
平成23年に国税通則法(税務調査手続き)の大きな改正があり、調査官の事務作業が増加したこともあって、調査件数は年々減少傾向にあります。
実地調査件数11,935件のうち、申告漏れ等の指摘があった件数は9,761件で、申告漏れ割合は81.8%となっています。
税務調査がくると、なんと8割は追徴課税がなされるのです。
申告漏れの多い財産の内訳は、現金・預貯金等1,036億円が最も多く、続いて土地410億円、有価証券364億円の順となっています。
追徴税額(加算税を含む。)は583億円で、実地調査1件当たりでは489万円となっています。
注目すべき重加算税の賦課件数は1,250件、申告漏れが指摘された件数のうち重加算税が賦課された割合は12.8%となっています。
国税庁が昨今力を入れているのが海外資産絡みの事案です。
資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案など、海外資産関連事案については、本事務年度においても積極的に調査を実施するとされています。
もう一つ力を入れているものが無申告事案です。
無申告事案は、申告納税制度の下で自発的に適正な申告・納税を行っている納税者の税に対する公平感を著しく損なうものであることから、資料情報の更なる収集・活用など無申告事案の把握のための取組を積極的に行い、的確な課税処理に努めるとされています。
なお、平成27事務年度に行われている調査の対象は、改正前の平成25年に申告された事案が主な対象となっています。
したがって、平成27年改正の影響は数値にはまだでてきません。
平成27年分の相続税申告への税務調査の統計が公表されるのは平成29事務年度となります。
世の中、どうにかしたくても、どうにもならないことはあります。
その一例がタワーマンションの評価見直しです。
固定資産税評価の見直しが急がれていますが、
この議論は単に家屋の固定資産税評価の調整の話であって
相続税の節税問題の解決にはつながりません。
相続の節税問題は、家屋の固定資産税の評価を見直しても焼け石に水。
問題の本質は土地の評価にあるのです。
タワーマンションの所有者は、敷地権という形で土地を共有しています。
マンションの所有者、例えば500とか700名などで土地を共有しています。
一般的に、土地は路線価×地積で評価します。
土地を共有している場合は、その持分で按分します。
普通の土地を、例えば、路線価20万円1万㎡の土地を4人で所有していると
20万円×1万㎡÷4人=5億円となります。
ところが、タワーマンションの土地は
20万円×1万㎡÷500人=400万円といったイメージです。
建物も、専有面積はそれほど大きくはないので
土地・建物の評価は何百万円から、高くても2千万円程度です。
タワーマンションの相続税評価額は、実勢時価と比べて、半分以下となるのが一般的です。
戸数が多い場合や、敷地が小さい場合は、10分の1にもなっています。
相続税・贈与税の実務では、この実勢時価と相続税評価額の大きな乖離が問題とされています。
故人が、現金をもって亡くなれば5,000万円が課税の対象となります。
これに対し、マンションを購入すれば500万円と評価され、4,500万円も評価が圧縮されます。
そこで、このような評価の乖離を埋めるべく、タワーマンションの評価の見直しが検討されています。
まず土地の評価の見直しはどのようにしたらよいのでしょうか。
土地は、これまで伝統的に共有地は、「路線価×地積×持分」とされてきました。
路線価図において、タワーマンション敷地だけ路線価を高くするわけにはいきませんので、土地の評価を見直すことは難しいといえます。
次に家屋の見直しです。
マンションの価格は、階層と方位に影響されますが、家屋評価にはそれが考慮されていなかったというものです。
家屋の評価は、この家屋をいま建築したらいくらかかるかといった再建築価格をベースに、経年減価をして現在評価額を算出します。
タワーマンションも、普通のマンションも、戸建ても皆このような評価を行います。
階層加算ですが、そもそもタワーマンションは1億のものが1000万円、5000万円のものが500万円で評価されているのが問題とされているのです。
例えば、20階建てのマンションの実勢時価が5,000万円であるのに対して、固定資産税評価額が500万円であるとします。
実勢に近付けるとしたら、今500万円であれば、5階を4倍の2000万円に、20階を7倍の3500万円にといった具合です。
タワーマンションだけ、階層別に、固定資産税評価を4倍、7倍にする合理性はあるのでしょうか。
いくら階層加算をしたところで、相続評価の見直しにはつながりません。焼け石に水です。
夫婦間において、夫の給与で生活費をやりくりし、余ったお金を妻名義の預金で貯金しておくことが一般的に行われています。いわゆるへそくりです。
実は、相続税の世界では、このへそくりは、原則として夫のものとなります。
なぜなら、夫が自己の財産を、妻名義の預金として保有するのも珍しいことではないため、それが妻名義ということだけをもって妻の所有であると断定することはできないと考えられているからです。
原資が夫の収入である妻のへそくりは、夫婦共有財産としての性質がありますから、名義が変わってもなお夫に帰属するものと考えられています。
妻は、「生活費で余ったお金は妻にあげる。好き使ってよい。」と言われていたと主張します。しかし、税務上は、渡された生活費の法的性質は夫婦共同生活の基金であって、このような言葉が直ちに贈与契約を意味してその預金等の全額が自動的に妻の特有財産となるものとはいえないとされています。
また、妻は「預金を管理していて好きなものを買える状況にあったから私のお金だ」と主張します。しかし、同じく税務上は、財産の管理及び運用をだれがしていたかは重要な一要素となりますが、夫婦間においては、妻が夫の財産について管理及び運用をすることがさほど不自然であるとはいえないことから、これを重視することはできず、妻に帰属するものであったことを示す決定的な要素であるということはできないとされています。
そのため、相続税の計算においては、妻のへそくりは夫の財産として、そのうち妻の貢献については、配偶者の税額控除として全財産の法定相続分までは税金をかけないことで優遇されています。
ただし、夫婦といえども別人格です。
まとまったお金が夫から妻への贈与が明確に行われており、かつ、妻がその財産を管理している場合は、妻自身の固有の財産と認められます。
この際には、贈与の時点で贈与税がかかるため注意が必要です。
よく“税法の常識は社会の非常識”と揶揄されます。
一般的には妻のへそくりは妻が節約によって貯めた妻の財産という認識が強いですが、それが夫のものであるという税務の常識とのギャップは大きいものです。
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名義預金とは、形式的には故人の配偶者や子などの親族名義で預金をしていますが、実質的には故人のもので、親族の名前を借りているのに過ぎない預金のことをいいます。
相続税では、例え故人が子や孫名義で預金を作ったとしても、実質的に故人に帰属するものであれば、相続税の課税の対象となるのです。
例えば、
・夫の給与収入を原資とした専業主婦名義の預金
・親が積み立てた子供の定期積金
・祖父母が学資のために作った孫名義の定期預金
・故人が保険料を支払った生命保険
どこの家庭にもある問題です。
名義財産が、故人に帰属するのか、名義人に帰属するのかの判断基準は、法律に規定はありません。
その財産が誰のものかの判定は、
(1)その財産の購入原資は誰がだしたのか
(2)その財産の管理・運用はだれが行っていたのか
(3)名義人へ贈与された事実はあるのか
(4)その財産から生ずる利益の帰属者はだれか
(5)故人と名義人との関係
(6)その財産の名義人がその名義を有することになった経緯
(7)名義人の収入の状況
などの客観的事実を総合的に勘案して判断するものとされています。
個別事案にあわせて、総合的な判断です。
総合的な判断ですから、その財産を名義人が管理・保管していたとしても、贈与された事実がなければ実質的には故人に帰属して相続財産となるとされています。
例えば、夫の給与収入を妻名義の預金で管理している場合です。
また、名義人へ贈与された事実があっても、実際に管理していたのが故人であればこれも故人の相続財産とされています。
例えば、贈与契約書があっても、実際に通帳・印鑑・カードを持っていたのが故人である場合です。