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生前贈与の誤った認識。その1

 平成27年に相続税が増税となり、相続税の申告対象者が倍増したのは記憶に新しいところです。

 そのため、最も基本的な相続税対策であり、手軽にできる“生前贈与”が注目されています。

 ただし、様々な情報が錯綜し、納税者において誤った認識があるのも事実です。

 以下、整理してみます。

 まず、生前贈与の大前提は、贈与には要件があるということです。

 その要件とは、贈与は、「あげた」「もらった」の2つがあって成立するものということです。

 つまり、あげる側があげたつもりではなく、貸したお金だというのであれば贈与成立ではありません。

 もらった側も同じく、もらったのではなく返すつもりでいるお金は贈与成立ではありません。

 また、当然、もらったのですからその財産の存在を知らなければなりませんし、その財産を自由に使える状態でなければなりません(実はここが最も重要)。

 相続税上は、贈与不成立となりますと、例えお金が子供の通帳に入金されていたとしても、親の財産とみなされてしまうのです。

 さらにいうと、贈与は法律的な行為ですので、あげる側に認知症の症状がみられると、単独での法律行為が難しくなってきますので、贈与不成立となってしまう可能性が高いといえます。同じく、寝たきりの状態で意思の疎通が難しい状況下での贈与も不成立となってしまう可能性が高いといえます。

 なお、もらう側が未成年ですと、単独で法律行為ができないのではないかという疑問が生じますが、贈与を受けることは未成年が損失を被る話ではないので、単独でもできます。

 ただし、財産は親権者が管理することが望ましいといえます。

(つづく)